評価ルール（500点満点）

• ① 教育思想の革新性（100）… それまでの常識をどれだけ壊し、新しい「学びの考え方」を提示したか。
• ② 制度・仕組みへのインパクト（100）… 学校制度・大学モデル・カリキュラムなど、具体的な仕組みをどれくらい変えたか。
• ③ 普及スケール／持続性（100）… 地理的な広がりと、何世紀スパンで続いているか。
• ④ モデル性・再現性（100）… 「この人のやり方を真似した学校・制度・カリキュラム」が世界にどれだけ存在するか。
• ⑤ 社会インパクト（100）… 教育以外（政治・文化・経済・価値観）も含め、社会全体への波及度。

※あくまで編集部（GOATチャンネル）独自の指標であり、絶対評価ではありません。

孔子（Confucius）東アジア教育の「OS」

紀元前6〜5世紀／中国春秋時代 — 「論語」と儒教が2000年以上、東アジアの教育と官僚制を支配

要約

家柄に関係なく「学びたい者には教える」というスタンスを取り、
仁・礼・義を中心とする人間形成の思想を打ち立てた大教育者。
後の科挙制度・官僚養成・家庭教育にまで影響し、実質的に東アジアの標準カリキュラムを作った存在。

どこが革新的だったか

• 身分に関係なく学びを開いた（「有教無類」的発想）。
• 知識よりも「人格（仁）と礼儀」の修養を重視するカリキュラム。
• 家庭・学校・国家を一貫させた倫理体系を構築。

制度・社会へのインパクト

• 漢代以降の科挙制度の思想的土台になり、約1300年間、官僚登用試験の基準に。
• 中国・朝鮮・日本・ベトナムなど、東アジア一帯の学校教育・家庭教育の価値観を形成。
• 現代でも「儒教文化圏」として、勤勉・学歴重視・試験社会の背景に居座り続けている。

孔子のスコア（教育者／学者として）

出典：『論語』、東アジア教育史・儒教研究など。

プラトン（Plato）「アカデミー」を作った男

紀元前4世紀／古代ギリシア — 西洋哲学と「学園」という仕組みの原型

要約

ソクラテスの弟子として哲学を学び、アテナイにアカデメイア（アカデミー）を創設。
「学問をする人が集まり、対話と思考を続ける場」というモデルを生み、後の大学や研究機関の原型となった。

教育・学問モデルとしての革新

• 「イデア論」を軸に、数学・倫理・政治・形而上学を総合的に学ぶカリキュラム。
• 対話編を通じた、ゼミ＋ディスカッション型の学びの原型。
• 「哲人王」論を通じ、知と政治をつなぐエリート教育の理想像を提示。

スコア

出典：『国家』『饗宴』ほかプラトン対話篇、西洋教育史・大学史。

アリストテレス（Aristotle）「学問を分けた」人

紀元前4世紀／古代ギリシア — 論理学・自然学・倫理学…ほぼ全部の「教科」を作った人

要約

プラトンの弟子として学び、独自にリュケイオンを設立。
論理学（推論のルール）、生物学、政治学、倫理学などを分化させ、「教科」という概念を定着させた存在。
いま私たちが「国語・数学・理科・社会」と分けて勉強している構図の遠い祖先でもある。

教育者／学者としてのポイント

• 三段論法に代表される論理学の基礎を授業化。
• 観察と分類にもとづく自然学・生物学の教育スタイル。
• 倫理学・政治学を「実践的な学問」として体系化。

スコア

出典：『ニコマコス倫理学』『政治学』『形而上学』ほか、教育史・科学史資料。

ヤン・アモス・コメニウス（Jan Amos Comenius）「近代学校」のプロトタイプ

17世紀／ボヘミア出身 — 義務教育・学年制・絵入り教科書の祖

要約

「すべての人に、すべてのことを、体系的に教えるべきだ」という構想を掲げ、
学年制・カリキュラム・絵入り教科書など、近代学校の要素をほぼ全部詰め込んだ教育思想家。

どんな意味でGOAT級か

• 幼児〜成人までを見通した発達段階別カリキュラムを提案。
• 『世界図絵（オルビス・ピクトゥス）』で絵入り教科書という概念を普及。
• 「万人のための学校」という普遍教育のビジョンを示した。

スコア

出典：『大教授学』『世界図絵』、ヨーロッパ教育史資料。

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト（Wilhelm von Humboldt）「研究大学」モデルを作った

18〜19世紀／プロイセン — ベルリン大学＝現代研究大学の雛形

要約

「教授が研究し、その最先端を学生に教える」という
研究と教育の統合モデルを打ち出し、ベルリン大学（現在のフンボルト大学）を設計。
世界中の総合大学・研究大学のテンプレになった。

教育モデルとしてのポイント

• 知識の「伝達」ではなく、探究の共同体として大学を構想。
• 学問の自由・大学の自治を重視し、近代大学憲章のベースに。
• アメリカ・日本を含む多くの国が、フンボルト型大学をモデルに高等教育を整備。

スコア

出典：フンボルト大学史、近代大学史・高等教育研究。

ジョン・デューイ（John Dewey）「学びは経験だ」を押し通した人

19〜20世紀／アメリカ — 進歩主義教育・アクティブラーニングの源流

要約

「Child-centered（子ども中心）」と「Learning by doing（やりながら学ぶ）」を掲げ、
体験・対話・問題解決を重視する学校教育を理論化した哲学者・教育学者。
現代のプロジェクト学習・アクティブラーニングは、ほぼ全部デューイの影の仕事と言ってよい。

教育者としてのキー概念

• 知識は暗記でなく、経験と結びついた問題解決の道具だと位置付け。
• 教室を「民主主義のミニモデル」としてデザイン。
• 教師を「答えを配る人」ではなく、学びのファシリテーターと捉え直す。

スコア

出典：『民主主義と教育』『学校と社会』、アメリカ教育史・教育哲学研究。

マリア・モンテッソーリ（Maria Montessori）「子どもは自分で育つ」を証明

19〜20世紀／イタリア — モンテッソーリ教育で幼児教育を再発明

要約

医師・教育者として、子どもの自発性と感覚的な活動を徹底的に観察し、
「環境を整えれば、子どもは自ら学ぶ」という教育法を世界規模に広めた。
いまもモンテッソーリ園・スクールが各国で運営されている。

教育モデルとしてのインパクト

• 年齢混合クラス・教具による自己選択学習など、今のオルタナ教育の基本パターンを多数実装。
• 「観察にもとづく個別最適」の考え方で、特別支援教育にも大きな影響。
• 世界中でフランチャイズ的に再現されている教育ブランドという意味でも異常な影響力。

スコア

出典：モンテッソーリ著作・モンテッソーリ教育研究、各国の実践校データ。

ジャン・ピアジェ（Jean Piaget）「発達段階」を見える化した学者

20世紀／スイス — 認知発達理論で教育心理学を刷新

要約

子どもの思考の発達を実験的に分析し、感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期などの段階を提示。
「何歳でどこまで理解できるか」という教育心理学の基準線を引いた。

教育への影響ポイント

• 「年齢に合わない抽象概念を教えても意味がない」という発達適合の考え方を広める。
• カリキュラム編成・教科書づくりに認知発達の視点を導入させた。
• その後の教育心理学・発達心理学のスタンダードになり、教師養成にも深く入り込む。

スコア

出典：『児童の言語と思想』ほかピアジェの研究、教育心理学史。

パウロ・フレイレ（Paulo Freire）「読み書き＝解放」とした教育思想家

20世紀／ブラジル — 被抑圧者の教育学で、識字教育と社会運動をつなぐ

要約

貧困層・被抑圧層の人々に対する識字教育を通じて、
教育を単なるスキル習得ではなく社会構造を読み解き、変革する力と捉え直した人物。
批判的思考・対話・エンパワメントの文脈で、今も世界中の教育実践に引用される。

教育モデルの特徴

• 「銀行型教育」（教師→生徒への一方通行）の批判と、対話型教育の提案。
• 識字教育を、政治的な自己解放と結びつけた。
• NGO・成人教育・市民運動のプログラム設計に大きな影響。

スコア

出典：『被抑圧者の教育学』、成人教育・NGO教育プログラム史。

サルマン・「サル」・カーン（Salman “Sal” Khan）YouTube時代の「黒板の人」

21世紀／アメリカ — Khan Academyで「無料オンライン塾」の世界標準を作る

要約

いとこへの数学指導動画から始まり、世界最大級の無料オンライン学習プラットフォーム
Khan Academyを立ち上げた人物。STEM教育・テスト対策・更にはAIチューターまで、
「インターネットで学ぶ」の当たり前を世界中に広げた。

21世紀型教育としてのインパクト

• オンデマンドの動画学習＋自動採点問題という反転授業モデルを学校現場に導入。
• 世界中の学習者に対して、ほぼ無料で受けられる標準カリキュラムを提供。
• EdTech・MOOC・オンライン家庭教師サービスなど、後続のエコシステムの基礎イメージを提示。

スコア

出典：Khan Academy公式資料、EdTech・オンライン学習に関する研究。

教育者／学者 GOAT最終ランキング（500点満点）

GOAT最終判定

🏆 教育者／学者GOAT：孔子（488 / 500）

東アジア一帯の学校教育・家庭教育・官僚制に2000年以上影響し続けている、という意味で、
影響力だけ見れば孔子を1位に置かざるを得ない…というのが今回の結論です。