建築・Architecture GOAT徹底比較|世界の建築史を変えた10人






建築・Architecture GOAT徹底比較|世界の建築史を変えた10人




建築・Architecture GOAT徹底比較

「世界の建築史をどこまで書き換えたか?」という一点に絞って、
建築家+建築理論家10人をピックアップ。
評価軸は①革新性 ②空間デザイン&技術 ③建築界への影響 ④都市・文化インパクト ⑤後続への波及の5つ。
各100点、合計500点満点で、歴史レベルのGOAT(Greatest Of All Time)を判定する。

採点ルール(500点満点)

「好み」ではなく、歴史の分岐点としてのヤバさを数値化

  • ① 革新性(100):構造・意匠・思想など、それ以前になかった発明の度合い。
  • ② 空間デザイン&技術(100):空間体験・構造技術・ディテールの完成度。
  • ③ 建築界への影響(100):建築教育・プロの設計実務・学会にどれだけ食い込んだか。
  • ④ 都市・文化インパクト(100):都市景観・観光・文化アイコンとしての存在感。
  • ⑤ 後続への波及(100):後の世代が「この人を避けて語れない」レベルの参照度。

※「この人がいなかった世界線だと、建築の見え方・都市の姿がかなり違っていたはず」という観点でスコアを置いている。

マルクス・ウィトルウィウス(Vitruvius) — 建築理論のベースを作ったローマの技術者

『建築十書』で「強さ・役に立つ・美しさ」の三原則を定義

概要

紀元前1世紀頃のローマの建築家・技術者。著書『建築十書』は、古代ローマの建築・都市・設備・比例論を体系的にまとめた、世界最古レベルの建築書。
ルネサンス以降、建築教育の基礎教科書として読まれ続け、パラーディオやレオナルドなど、後の巨匠たちの“理論の地盤”になった。

キーポイント

  • 「堅牢」「有用」「美」の三原則=建築評価のフレームを作った。
  • 比例論・人体寸法と建築の関係など、後世の黄金比/モジュール設計にも直結。
  • 古典主義建築の参照元として、2000年以上読み継がれている。

スコア

項目 スコア
① 革新性 92
② 空間デザイン&技術 85
③ 建築界への影響 96
④ 都市・文化インパクト 82
⑤ 後続への波及 95
合計 450 / 500

フィリッポ・ブルネレスキ(Filippo Brunelleschi) — ルネサンス建築とドーム工学をぶっ壊した男

フィレンツェ大聖堂の巨大ドームで「現代的な構造設計」の先駆けに

概要

15世紀フィレンツェの建築家。フィレンツェ大聖堂(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)の巨大ドームを、
足場を内部に設けることなく、二重殻構造と独自の施工法で完成させた。
同時に遠近法の理論化にも関わり、建築と絵画の空間表現を根本から変えた存在。

キーポイント

  • 巨大ドームを成り立たせるための構造・施工のイノベーション。
  • 遠近法の確立とともに、空間の「見え方」の基準を変えた。
  • ルネサンス建築=均整のとれた幾何学空間のスタート地点。

スコア

項目 スコア
① 革新性 95
② 空間デザイン&技術 96
③ 建築界への影響 93
④ 都市・文化インパクト 90
⑤ 後続への波及 92
合計 466 / 500

アンドレア・パラーディオ(Andrea Palladio) — 欧米の「お手本住宅」を量産した古典主義の鬼

ヴィラ建築と『建築四書』で、ヨーロッパ〜アメリカの住宅フォーマットを決定

概要

16世紀イタリアの建築家。ヴェネト地方のヴィラ建築やパラーディオ様式の教会で知られ、
理論書『建築四書』を通じて、自身の設計手法をパターン化・公開した。
その結果、ヨーロッパからアメリカまで「クラシックな立派な家」のテンプレートが世界にコピーされることになる。

キーポイント

  • シンメトリーと列柱を組み合わせた「お屋敷」の型を世界中に輸出。
  • 理論書による“再現可能な様式”の提供=建築パターン言語の先駆け。
  • パラーディアン・スタイルは、今でも高級住宅・官公庁の定番イメージ。

スコア

項目 スコア
① 革新性 90
② 空間デザイン&技術 92
③ 建築界への影響 96
④ 都市・文化インパクト 93
⑤ 後続への波及 96
合計 467 / 500

アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí) — 建築を“有機生命体”に変えたカタルーニャの異端

サグラダ・ファミリアやカサ・ミラで「直線じゃない建築」の可能性をフル解放

概要

19〜20世紀バルセロナの建築家。曲線・有機的フォルム・タイル装飾を駆使し、
サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・バトリョなど“観光アイコン級”の建築を連発。
近代建築の文脈の中でも、構造・装飾・象徴性の全てが異次元レベルで融合している。

キーポイント

  • 直線と直角を基本とする近代建築に対し、徹底した曲線・有機フォルムで殴り込む。
  • 構造計算も含めた「吊りモデル」など、物理的にもガチの検証。
  • バルセロナという都市イメージを世界レベルで上書きした張本人。

スコア

項目 スコア
① 革新性 97
② 空間デザイン&技術 96
③ 建築界への影響 93
④ 都市・文化インパクト 98
⑤ 後続への波及 92
合計 476 / 500

フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright) — 20世紀住宅と有機的建築のテンプレを作った男

「落水荘」「グッゲンハイム美術館」から、普通の戸建て住宅のプランまで全部に効いてくる

概要

アメリカの近代建築を代表する建築家。プレーリーハウス、ユーソニアン住宅、落水荘、
グッゲンハイム美術館など、住宅から公共建築まで「自然と一体化する空間」を追求。
オープンプラン・連続するリビング空間・一体型家具など、
現代の住宅間取りにも普通に残っているアイデアを大量にばらまいた。

キーポイント

  • 敷地と建物をセットで読む「有機的建築」の理論と実践。
  • 住宅プランの常識(廊下・部屋割り・リビング)を再定義。
  • 世界中の建築学生が一度は図面をトレースさせられるレベルで必修。

スコア(GOAT級候補)

項目 スコア
① 革新性 97
② 空間デザイン&技術 98
③ 建築界への影響 98
④ 都市・文化インパクト 94
⑤ 後続への波及 98
合計 485 / 500

ル・コルビュジエ(Le Corbusier) — モダニズム建築のルールを作った「教科書そのもの」

近代建築五原則・ユニテ・ダビタシオン・チャンディーガル…全部やり過ぎ

概要

スイス生まれフランスで活動した近代建築の象徴的人物。
「近代建築の五原則」(ピロティ、自由な平面、自由なファサード、水平連続窓、屋上庭園)を提示し、
サヴォワ邸やユニテ・ダビタシオン、チャンディーガルの都市計画などで実装。
20世紀の集合住宅・オフィスビル・団地・新都市開発の文法の8割ぐらいはここ経由と言っても大げさではない。

キーポイント

  • 近代建築五原則で「箱型建築」のルールブックを作ってしまった。
  • 「住宅は住むための機械」という割り切りが、集合住宅と団地計画を世界レベルで規定。
  • インド・南米などグローバルに作品があり、都市像そのものを変えた。

スコア(今回のGOAT)

項目 スコア
① 革新性 99
② 空間デザイン&技術 96
③ 建築界への影響 100
④ 都市・文化インパクト 97
⑤ 後続への波及 98
合計 490 / 500

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe) — 「Less is more」でガラス箱の時代を開いたミニマリスト

バルセロナ・パビリオン、シーグラム・ビルで“現代的オフィスビル”の原型をつくる

概要

バウハウス最後の校長でもあり、アメリカに渡ってシカゴ・スクールの象徴的存在に。
ガラスとスチールによるミニマルなボリュームで、世界中のオフィスビルや高層住宅の「基本形」を提示した。
「Less is more」は建築だけでなくグラフィック・UI・プロダクトなどデザイン全域の標語にもなっている。

キーポイント

  • フレーム+ガラスの“透明な箱”=グローバルオフィスのテンプレ。
  • 細部のディテール(ジョイント・柱の見せ方)でミニマルの基準を爆上げ。
  • バルセロナ・パビリオンは、今も建築学生の聖地クラスの扱い。

スコア

項目 スコア
① 革新性 94
② 空間デザイン&技術 97
③ 建築界への影響 98
④ 都市・文化インパクト 95
⑤ 後続への波及 97
合計 481 / 500

オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer) — ブラジリアと曲線コンクリートで“未来都市”を具現化した男

首都そのものをデザインする、という規模感の暴力

概要

ブラジルの近代建築家。ルシオ・コスタらと共に、新首都ブラジリアの主要建築群(国会議事堂、大聖堂、大統領府など)を設計。
コンクリートで描かれた大胆な曲線と巨大なピロティ空間は、
「南米発の近代未来都市」のイメージを世界に刻みつけた。

キーポイント

  • 都市スケールで近代建築を実装しきった希少ケース。
  • 柔らかい曲線コンクリート=ハードなのに有機的、という新感覚。
  • グローバルサウスの建築が世界基準を上書きした象徴的存在。

スコア

項目 スコア
① 革新性 94
② 空間デザイン&技術 95
③ 建築界への影響 93
④ 都市・文化インパクト 96
⑤ 後続への波及 92
合計 470 / 500

ルイス・I・カーン(Louis I. Kahn) — 「光」と「静けさ」で公共建築の雰囲気をリセットした巨匠

サルク研究所・キンベル美術館など、“静かなモニュメント”の雛型

概要

20世紀中盤のアメリカ建築家。サルク研究所、キンベル美術館、バングラデシュ国会議事堂など、
厚い壁・深い開口部・トップライトを使った「静かな光の空間」で知られる。
モダニズムの箱型から一歩引き、素材感と光で空間に“宗教性っぽい何か”を取り戻した存在。

キーポイント

  • コンクリートと石を使った「時間がたっても崩れない感じ」の重厚建築。
  • 自然光の取り込みを緻密に設計し、内部の雰囲気を決定。
  • 安藤忠雄ほか、多くの現代建築家が精神的に参照している。

スコア

項目 スコア
① 革新性 90
② 空間デザイン&技術 97
③ 建築界への影響 94
④ 都市・文化インパクト 88
⑤ 後続への波及 94
合計 463 / 500

安藤忠雄(Tadao Ando) — コンクリートと光と余白で「静かな日本」を世界に輸出した建築家

住吉の長屋・光の教会・直島プロジェクト…“空気感”ごとデザインする

概要

日本を代表する現代建築家。打ち放しコンクリート、自然光、水面、余白を組み合わせ、
「何もないようで、めちゃくちゃコントロールされた空気」をつくるスタイルで世界的評価を獲得。
直島のアートプロジェクトなど、建築×アート×地域再生のモデルケースも示した。

キーポイント

  • 打ち放しコンクリートのクオリティを世界レベルのブランドにした。
  • 光・影・水・風など、環境要素を空間設計の主役に引き上げた。
  • ミニマルでスピリチュアルな空間は、世界の若手建築家の“言語”の一つになっている。

スコア

項目 スコア
① 革新性 92
② 空間デザイン&技術 97
③ 建築界への影響 93
④ 都市・文化インパクト 90
⑤ 後続への波及 95
合計 467 / 500

10人の最終スコア一覧(500点満点)

人物 ① 革新性 ② 空間&技術 ③ 建築界への影響 ④ 都市・文化インパクト ⑤ 後続への波及 合計
ル・コルビュジエ 99 96 100 97 98 490
フランク・ロイド・ライト 97 98 98 94 98 485
ミース・ファン・デル・ローエ 94 97 98 95 97 481
アントニ・ガウディ 97 96 93 98 92 476
オスカー・ニーマイヤー 94 95 93 96 92 470
安藤忠雄 92 97 93 90 95 467
アンドレア・パラーディオ 90 92 96 93 96 467
フィリッポ・ブルネレスキ 95 96 93 90 92 466
ルイス・カーン 90 97 94 88 94 463
マルクス・ウィトルウィウス 92 85 96 82 95 450

GOAT最終判定

🏆 建築・Architecture GOAT(総合) — ル・コルビュジエ(490 / 500)

・近代建築五原則で「箱型建築のルール」を作り、
・集合住宅〜都市計画まで一気通貫で実装し、
・20世紀の建物と街のシルエットを世界規模で変えた、
という3点を総合して、今回はレオ・コルビュジエを建築GOATと判定している。
もちろんライト派・ミース派・ガウディ派など反論は無限にある前提で、「影響力ONLY寄りの採点」だと思ってもらえればOK。

© 2025 GOATチャンネル — 本記事のスコアは建築史・都市史の通説をベースにした独自評価です。


この界隈の最終GOAT

建築

ル・コルビュジエ
490 / 500
※当サイト独自の500点満点スコア(実績・影響・持続性などの合算)。基準は「判定基準」ページ参照。

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